ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(2)(状況を把握する) by須賀えり子

■インタビューチーム

 部課内改善チームが発足し、プロジェクトが進み始めました。


これから、部内30人のカウンセリングを進めていく必要があるのですが、CCエリコは、アカイ部長にある提案をしました。

部課内改善チーム発足

CCエリコ:「私が、部内30人のカウンセリングを行うのは、時間と労力がかかり過ぎます。そこで、改善チームの皆さんを含めて、それぞれの課であともう一名ずつ出て頂いて、インタビューリーダーチームを作るのはいかがでしょうか?」

アカイ部長:「課内ひとり一人のインタビューを、そのリーダーに行ってもらうと言うことでしょうか?インタビューにも向き不向きがあると思うのですが、彼らに出来るでしょうか?」

CCエリコ:「はい。大丈夫です。私が、傾聴力のトレーニングをさせて頂きます。簡単にインタビューと言いますが、ここには様々なスキル(手法)があります。信頼関係を築く傾聴力相手の潜在的な課題や強みを引き出す質問力など。そして一番大切なことは、話しを聴く側(上司など)の人が持つ「あり方」です。要するに人間力です。ここが、伴わなければ、インタビューも詰問や尋問のようになってしまい、逆に信頼を失いかねません。先ずは、大切なあり方(人間力)からお伝えするスキルトレーニングです。」

アカイ部長:「なるほど、確かに私自身、部下に仕事の進捗を聴きたくて、状況を聞いただけなのに、キレられたことがありますね。」

CCエリコ:「そうなのです。アカイさまはただ質問をしただけ。でも、部下はキレてしまった。ここに、お互いのコミュニケーションの方向が違っているのが解ると思うのですが、いかがですか?」

アカイ部長:「えぇ。私は、進捗報告を聞きたかっただけ。ですが、部下は、何か別の捉え方をしたのでしょうか?」

CCエリコ:「そうですよね。アカイさまの気持ちが部下の方に伝わらなかった。そして、何か別の捉え方をしてしまったかも知れない。それは、どのような捉え方だと考えることができますか?」

アカイ部長:「う。。。。。ん。そうですね。例えば、私に、しっかり仕事していないと、責められたと感じたのでしょうか?」

アカイ部長の悩み

CCエリコ:「部下の方は、アカイさまに責められたように感じた?と、考えが浮かんで来たのですね。人は誰しも情報を受け取る際に何らかの思い込みの癖があるものです。例えば「ドライバー」と聴いて頭の中でイメージしたのは、どのようなものでしょうか?

アカイ部長:「ゴルフ場で、1打目を打つシーンです。」

ドライバー

CCエリコ:「アカイさま、良いイメージ力ですね。はいそのように「ゴルフのドライバー」をイメージする人もいれば、「工具のドライバー」を思い浮かべる人もいる。また「タクシーなど、車を運転する人 ドライバー」をイメージする人がいるかも知れません。人は、このように誰しも自分自身の経験を基に、受取る情報を瞬時に形づけています。もちろん、その方のお話しをお聴きしないと、断言はできませんが、アカイさまが仰るように「責められた」と感じられたのかも知れません。」

アカイ部長:「なるほど・・・・・コミュニケーションミスとは、こんな風に、聴き手側と、受け取り側でのお互いの考え方や捉え方で、違ってくるものなのですね?そう考えると、このようなミスは、少しでも避けたいです」

CCエリコ:「はい。今回の傾聴トレーニングには、そのようなコミュニケーションを円滑にする目的もあります。
先ほど、「ドライバー」と聴いて「ゴルフのシーン」を思い浮かべた。その時のことを考察してみましょう。瞬時に思い浮かべた時は、頭の中で「ゴルフのシーンを思い浮かべよう。」と考えてイメージをしましたか?」

アカイ部長:「いいえ~ 先週行ったゴルフ場がとても気持ち良くて、その時打った第一打目のシーンが、パッと出てきました。」

CCエリコ:「はい。そうですよね? 頭の中で瞬間的にイメージが出てきた。
多くの人は、このように瞬時にイメージが湧いてきます。この瞬時に湧いてくるイメージや考えのことを自動思考といいます。そして、人間関係のシーンでは、ここに人が持つ「感情」がついてくるので、さらに話しがややこしくなるのです。その悪化の原因の多くは、このような部分にあります。
 お互いの思い込み(自動思考)に気づくことができるだけで、人は意識したコミュニケーションが出来るようになります。そして、自分の価値観と相手の価値観が違う。と言うことが理解でき、お互いを尊重し合える関係性が作れるようになってくると、職場の中は、信頼関係の風土づくりができるようになってきます。」

アカイ部長:「なるほど・・・・・それは、ぜひ管理職やリーダー、上司の立場の人たちに、知ってもらいたい内容ですね。でもやはり少し難しそうにも感じます。
第一、こちら側でその思い込みについて整理が出来たとしても、部下の態度が変わらなければ、状況は変わらないのでは?」

CCエリコ:「はい。人間関係の課題は、双方の認識が大切です。ただ、権威のある立場の上司側に、相手の気持ちに寄り添いながら聴く姿勢が出来るだけで、部下は安心感を抱けます。安心して何かの発言ができる。この事が重要なのです。」

アカイ部長:「人間関係は、権威のある立場の上司側から・・・・う・・・ん。確かに私は、無意識に、立場が下の部下が上司を敬うもの。と思ってきたかも知れません。現に私自身がそのように、上司を敬ってきましたから・・・・」

CCエリコ:「アカイさまは、これまで上の立場の方に敬意を払いながら、誠実にお仕事をこなして来たのですね。きっと、上層部の方々がそのようなアカイさまの、仕事に対する姿勢を見て、部長職に抜擢されたのかも知れない。と私はそのように感じましたよ?
 今回のトレーニングには、そのように先ずは各自自分自身への自己理解を深め、その上で互いの考え方や価値観の違いを見える化できるワークがあります。そのようなワークを取り入れることで、よりトレーニングも深まります。そうした対話力のトレーニングを行いながら、インタビューチームの編成をいたしましょう。」

今回のPointは?

① 自分の捉え方と、相手の捉え方に違いがあること
② 自分の価値観と、相手の価値観を尊重し、それぞれを認めること
③ 聴くスキルの前に、聴く側のあり方(人間力)が重要であること

④ その上で、チームの連携方法を組み立てる必要があること

 このように、自分と相手の捉え方(価値観)の違いを知り、お互いを尊重し合える関係性が気づけるとコミュニケーションミスが少なくなってまいります。そして、スムーズな意見交換ができ、また情報収集のためのインタビューも、確実に行うことが可能です。

CCエリコは、インタビューリーダーチームに、傾聴力のトレーニングを行い、リーダー達のカウンセリングの準備が整いました。インタビューの精度を揃えるために、インタビューシートを作成し、カウンセリングの実施を行いました。ここでいうカウンセリングとは、いわゆる心理やキャリアに対するカウンセリングではなく、あくまでも部内の状況を確認するための、アンケート調査のようなものです。

※ こちらのコラムは、事例を元にしたフィクションです。

(続く ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(3)(心理的安全性) 

ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(0)(プロローグ)
ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(1)(準備) 
ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(2)(状況を把握する) 
ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(3)(心理的安全性)
ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(4)(見える化)
ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(5)(実施)
ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(6)(評価)
ピンチはチャンスの芽~「対話」を通した組織づくりとは?(7)(継続と定着)

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この記事を書いたキャリアコンサルタント

須賀 えり子
須賀 えり子代表取締役
IT会社の経営に20年間携わっている。
中小企業の人材育成の難しさを体験しつつ、70%あった離職率を8年間0%に。「経営理念」を軸としたワーク型のSUN社員キャリア研修とキャリアカウンセリング。社員の方々、お一人おひとりが持つ潜在的な強みを輝かせ、他者との信頼感の連携をつくり、職場の組織力を高めます。人材育成を通した組織開発はお任せください。

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