新米教育担当アツコ、がんばる!第14回 「研修は最初が肝心!」by平井厚子
アサクラさんの来社日になりました。「どんな感じ?社長塾のスケジュールはできそう?」
「はい、こないだお電話で打ち合わせした感じだと、これでどうかと。」
アツコさんがスケジュール案をアサクラさんに見せました。
「・・・・・そうね、これでいいと思うわ。」アツコさんが内心(楽勝でしたね~)と思っていると、アサクラさんがにっこり笑って、「で、アツコさんはオリエンテーション担当ね。」
「は? オリエンテーションですか?」(え?山登りすんの?)
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今回のポイント 「集合研修のキモはオリエンテーション」

マインドマップを開発したトニー・ブザンは、学習したことの記憶についての一般的な法則として、以下のことを指摘しています。
- 学習期のはじめと終わりに学習されることは、比較的多く記憶される。
- 相互につながりのあることは、さらに多く記憶される。
- なんらかの点で目立つ事項は必ず多く記憶される。
オリエンテーションに関係するのは①の指摘です。最初と最後が記憶に残りやすいのなら、最も重要な内容を研修の最初と最後にいれるのが効果的ということです。
一般的な研修の最初は、事務連絡、講師紹介、スケジュールの確認、役員講話などがはいるのではないでしょうか。これは記憶に残りやすい時間に提供すべき内容でしょうか。
オリエンテーションは研修オープニングとして、以下の3つの内容を盛り込みます。
- 参加者の最大の関心事を打ち破る。
- ネットワーキングを促す。
- 研修内容に関係がある。
- 1については、研修開始時には参加者は研修会場にはいるものの、頭の中は別のこと、例えば今日やるはずだった仕事のこと、朝不機嫌そうだった家族のこと、などで占められていることが多いのです。そういった研修と関係ないことを考えるのを中断してもらい、研修に集中してもらうような仕掛けが必要になります。
一方的に講師や役員が話をしていては、受講者は自分の関心事から離れることができません。
- 2のネットワーキングは、受講者同士の関係性を早くつくり、緊張状態を脱することです。
オリエンテーションではアイスブレイクを行うことが多いですが、それは研修内容に関係することでなければいけません。「動物に例えると」といった自己紹介は面白おかしく盛り上がるかもしれませんが、ネガティブな気持ちで参加している受講者は白けてしまいがちです。
このように考えると、効果的なオリエンテーションは次のような構成が考えられます。
- 研修内容と関係があるアイスブレーキング
- 研修目的、学習内容、進め方などの説明
- 全体ルールの説明
- 参加者同士の自己紹介(全体会よりもグループ別でじっくりゆったり)
- 講師の自己紹介
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「アイスブレイクはまず、野球でもビジネスでもなんでもいいので、興味のある分野で、「トッププレイヤー」として名前が残る人を上げてもらいます。」アツコさんがアサクラさんに説明しています。
「次に、成功したリーダーとして思い浮かべる人を考えてもらいます。」
「プレイヤーとしては成功したけど、リーダーとしてはイマイチな人を考えてもらいます。」
「最後に、プレイヤーとしてはイマイチだったけど、リーダーとしては成功した人を上げてもらいます。」
「面白そうね。そのアイスブレイクと社長塾のテーマがどう関係していますか?」とアサクラさん。
「プレイヤーとリーダーに求められるものの違いを考えてもらおうと思います。」
(続く)
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この記事を書いたキャリアコンサルタント

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IT企業で25年人材育成に取り組んできました。その後就職支援で現実の労働市場に直面して視野を広げ、会社側の視点と労働者側の視点とニーズの両方を肌で感じて自分の中に取り込めたと思います。
働き方改革は従業員の能力開発、仕事の仕組みの見直しを伴ってこそ、実のあるものになります。ぜひ人材育成の視点からお手伝いさせてください。