新米教育担当アツコ、がんばる! 第12回 「オーダーメイドよりイージーオーダーで」by平井厚子

カリキュラム案ができてきました。
「こうしてみると、集合研修は意外と少ないんですね」とアツコさんが言いました。「OJTのほうが多いですかね。」
アサクラさんはニコニコしながら、「そうね、そこに新たな教育ニーズがありそうね。」「新たな教育ニーズですか?」「そう教育ニーズ。。。OJTって誰がするんだっけ?」アサクラさんはニコニコしたままです。「そっか、上司のOJTスキルですね!」アツコさんはすかさず付箋紙にメモしました。
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今回のポイント 「内製か外注か」

研修の大原則は、
「社内の独自ノウハウは内製化、一般的な知識スキルは外部講師の招聘(外注)、他流試合は公開講座の受講(外注)」
です。
1.内製化
例えば製造計画書などは、どのような項目を盛り込むかから、会社独自のノウハウです。記載レベルの細かさ、用語なども社内で蓄積されたノウハウでしょう。
そういう知識やスキルを伝承するには、研修内容の内製化が必要です。ここでいう内製化は必ずしも講師をたてて講義や演習で実施することを意味しません。作業ならマニュアル化、規程化、作業過程を動画撮影してオンデマンドで見られるようにしても、よいでしょう。OJTで教える際の手順と説明ポイントを、マニュアル化した会社もあります。
集合研修の内製化はかなりコストがかかります。要は自社独自の用語や考え方を理解し、実践できるようになればよいのです。そのために使える場面や手法を検討しましょう。
2.外部講師の招聘(外注)
100%一般論でよいことはなかなかありませんが、なんでも内製化していては内製化コストが膨らみます。リーダーシップの一般的な知識を学んでロールプレイングで習得させるなら、知識は一般的なものとし、事例に社内事例を使ったりします。自社のトップセールスのノウハウを学ばせるのなら、内製化が必要になります。
外注で実施する際は、必ずRFP(提案依頼書)を作成します。RFPには以下の内容を盛り込みます。
- 研修の目的
- 研修テーマについての現状
- 発注者の問題意識
- 到達ゴールと成果指標
- 育成対象者
- 研修で必ず取り上げてほしい事柄/取り上げてほしくない事柄
- 講師の条件
- 事前準備・事前課題についての要求
- 事後フォロー・事後課題についての要求
- スケジュール
- 予算
- 実行体制
- その他
3.公開講座の受講(外注)
知識やスキルの習得はもちろんだが、社外のネットワークを作ってほしい、異なる視点を持ち込んでほしい、などのニーズがある場合は、公開講座を探し、当該社員に受講させます。
受講後、職場で報告会を実施すると、本人のさらなる成長につながります。
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「集合研修は全部作るのかと思いました。たいへんだなあって」アツコさんはほっとしています。
「1つは作ろうと思ってる」とアサクラさん。「このリーダー育成のシンボリックになるような内製集合研修は、あったほうがいいと思うのよね。ミオツクシのリーダは全員この講座を受けてきたんだ、といえるような象徴的な研修。できればダイモン社長と膝を突き合わせて議論するような感じのもの・・・」アサクラさんが考えこみました。
(続く)
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この記事を書いたキャリアコンサルタント

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IT企業で25年人材育成に取り組んできました。その後就職支援で現実の労働市場に直面して視野を広げ、会社側の視点と労働者側の視点とニーズの両方を肌で感じて自分の中に取り込めたと思います。
働き方改革は従業員の能力開発、仕事の仕組みの見直しを伴ってこそ、実のあるものになります。ぜひ人材育成の視点からお手伝いさせてください。