働きがいのある組織(職場)をつくる(6)    好い循環のきっかけを作る by 井手幸史

これまで4回にわたって、私がこれまで人の育成や組織の育成をとおして多くの人を見てきた経験から、生き生きと働ける活気のある職場で多く見られる一人ひとりの特徴、メンバー間の関係性の特徴、そのような職場での上司のあり方の特徴、そして組織全体の特徴について、特に活気のある組織は、好い循環によって形作られることを見てきました。

これらの特徴の多くは、リモートワークでは軽視されがちです。リモートワーク環境が続くと、組織の活力は低下して行くおそれがあります。メンバー同士が形式的でない対話を気軽にできるような時間を意識して作り、オンラインでも思いを話せるような雰囲気を作っておくことが重要です。環境変化が特に激しい時期は、一人ひとりの中に思いが湧いてくる時期ですので、逆に活性化のきっかけにできる時期でもあります。
活力のある組織は多くの場合、各特徴の芽が相互に影響を与えながら小さな良い循環を形作り、次第に大きなスパイラルとなって強化蓄積されていった結果形成されます。

今回は小さな好い循環の最初のきっかけをどのようにすれば作ることができるかについてまとめます。具体的な内容は、組織の文化や置かれている状況や、一人ひとりの特性等によって違ってきますが、例えば次のような項目の順番は多くの組織で効果があります。
・メンバー一人ひとりの内なる意思を表出する
・内なる意思を踏まえて目の前の仕事に向き合う
・職場メンバー間でお互いの人となりを知る
・職場メンバー相互に内なる意思の発揮を支援しあう

<メンバー一人ひとりの内なる意思を表出する>

本連載の第二回でも書きましたが、誰しも、自身の内部の深いところには、湧き出る意思があるものです。一見ネガティブに聞こえる愚痴や他責発言の奥に、実はポジティブな意思が潜んでいることもよくあります。例えば、「仕事がつまらなくなった」と言う人の心の奥に「お客様を笑顔にしたい」という意思が潜んでいることがあります。本人にとっては当たり前すぎて、普段は意識に上らなかったりすることも多いのですが、このポジティブな意思に本人が気づくことが活力の出発点になります。これはモチベーションの源であり、内なる意思に沿うことには自律的に喜んで取り組みたくなります。例えば、以前はお客様に喜んでいただいている実感を、隣の部署から何気なく聞こえてくるお客様の声から得ていたということに思い至るかも知れません。

<内なる意思を踏まえて目の前の仕事に向き合う>

 ポジティブな内なる意思を踏まえて、目の前の状況や仕事のやり方などを見てみると、改善したい点や解決したくなる問題に幾つも気付きます。その中から、小さなことであっても、職場メンバーにもメリットがありそうなものに取組み始めましょう。例えば、部署を越えても気軽に対話できる場を作ろうというアイデアが出るかも知れません。

<職場メンバー間でお互いの人となりを知る>

 前項までが職場メンバー間にひととおりできたら、思いを自身の意思でメンバー間に共有する時間をとりましょう。このときに、内なる意思や取り組みたいことだけでなく、プライベートを含めたこれまでの経験や、心が動いた記憶や、大切にしている信条、あるいは固有の事情(介護などの制約条件)なども含めて共有しましょう。人ごとに考えや感ずるところ、当たり前だと思っていることが驚くほど異なるということ、その違いがこれまでの経験の違いに裏付けられていて、その人にとってはそう考え感じることが一番自然なのだということに気付くと、それがその人らしさなのだと共通認識ができ、尊重しあうことができるようになります。お互いの人となりを深いところで理解できるということです。

<職場メンバー相互に内なる意思の発揮を支援しあう>

 人となりの理解を踏まえて、お互いに他の人の取組みの実現を支援し合いましょう。支援し合うとは、感謝し合い、共感し合い、感動し合い、学び合い、激励し合うことを含みます。成果に結びつけば喜び合い感謝しましょう。これが、達成感、貢献感とともに内なる意思を成長させ、次はより大きなことに取り組みたくなります。小さいレベルの循環がこれで繋がったことになります。

 

以上、好い循環の最初のきっかけ作りについて書きました。これらが一回限りではなく何度も回るようになると、一人ひとりが自律的に動いてそれを相互に活かし合うことができるようになります。その結果として、職場が活性化し、働きがいに繋がって行きます。

初期の段階は、キャリアコンサルタントが職場の一人ひとりに面談を行うとともに、職場での対話の場をファシリテートすることでグループ支援するのが良いでしょう。並行に、キャリアコンサルタントが上司を支援して行くことで、メンバー主体で上司とともに活性化を進めていくことができるようになります。

次回は、職場が活性化した実際の事例をご紹介します。

この記事を書いたキャリアコンサルタント

井手 幸史
井手 幸史
一人ひとりの中の意欲を引き出し、職場メンバー間の連携で組織を活性化し、そこからさらに一人ひとりの成長に繋ぐ、一人ひとりと組織との間の好循環を産み出す仕組み作りのお手伝いをいたします。

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