人手不足に特効薬なし-ダイバーシティ&インクリュージョンから考える(第2回):「非正規」とよばれて by堀川眞也
外資系製造業と、日系の製造業での勤務を経験し、働き方の違いや、人事施策の違いを目の当たりにし、その経験からキャリアコンサルタント、社会保険労務士として企業で働く人を支援し、その企業の業績に貢献しています。
いま、とある企業に週1回、丸1日在籍しその企業で働く人と机を共にし、その企業の働き方改革を進めております。
多様性は身近なところに
第1回は人手不足のこの時に「人を辞めさせないこと」について触れました。
社内には様々な多様性の方々が働いています。従業員の皆さんがいきいきと働いてくれれば、必然的に会社に貢献をもたらせます。会社内の多様性と聞いて、「うちには、外国人も、障害者もいないから…」って、思っていませんか?
いえいえ、もっと身近なところにも多様性は存在します。
「非正規」と「正規」の住む場所の違い
「そこバイト!、その荷物片づけといて!」
「派遣さ~ん!、この資料入力しといて!」
「私の名前は『バイトさん』じゃないんだけど(怒)」
「ちゃんと名前呼んでくれ~!」
こんな言葉が聞こえてきそうな職場
長続きしないバイトに、社長は「最近の人はガマンが足らん」とおカンムリ。
派遣先では、派遣社員が一緒に働く派遣社員にマウント。
ちょっと待って! 処遇や立場がちがう働きかたも「多様性」のひとつ。この身近な多様性を包含する働く環境を提供できるかどうか考えてみませんか?
会社にとって売上・利益への貢献は、どのような雇用形態であろうと従業員が業務をこなした結果であり、雇用形態の多様性で可否をつけるものではないはず。
「非正規」と「正規」という言葉によって格付けされない環境が、一人一人の従業員のパフォーマンスを最大に引き出していける環境(ダイバーシティ&インクルージョン)なのではと考えています。
変化の時にこそ変化を
パート、アルバイト、有期雇用、派遣など、「正社員」と対称になる働き方を総称して「非正規社員」と呼ばれます。
「非正規」という働き方は
・短時間で、賞与、退職金は出さなくていい人材
・扶養家族の給与の範囲内で簡単な業務をお願いする人材
・派遣は一時的な業務量の調整をする為の即戦力。必要なくなれば雇い止めできる人材
と雇用形態における固定観念が、雇用する側、働く側双方にまだ根強くのこっています。
さらに働く側は
・責任のある仕事に就きたくない
・簡単で楽なしごとがしたい
・いつでも好きなときに休めるし、辞められる
と言う理由で非正規という働き方を選んでいる方がいることも事実です。
しかし、ここでマインドを少しチェンジしてみましょう。
振り返ってもここ10年の間に、様々な災害や事件が発生し、そして今、コロナ禍の渦中にあり、我々の働く環境は否が応でも変化を求められています。
働き方の多様化についても、「正規」「非正規」という雇用形態についての考え方(固定観念)を変化させるときが来ています。
一人ひとりが働き易く、働く事が幸せな環境と処遇が提供されることで、「非正規」といわれる従業員が「正規」の社員よりも実力を発揮し、貢献することもあるでしょう。
会社としては、ぜひ「正規」の社員として処遇したくなるような人材が現れるかもしれません。
「セルフ・キャリアドック」という方法
第1回にも書きましたが、働く人は100人いれば100通りの働く目的や理由があると考えられます。これら100通りの人達にモチベーションを与え、会社を辞めずに、業績に貢献していただくために必要なことは、従業員は何を求め、どのような理由で日々仕事をしているのかを理解することも必要になってきます。
「セルフ・キャリアドック」とは、従業員のキャリア形成における“気づき”を支援するために、年齢、就業年数、役職などの節目において、従業員が定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を、企業が設定するしくみのことです。
企業の人材育成ビジョンに基づき、キャリアコンサルティングを受ける機会を整備・提供することにより、従業員の仕事に対するモチベーションアップや定着率向上などを図り、企業の生産性向上にも寄与する効果があります。
セルフ・キャリアドックにより「正規」「非正規」など雇用形態に関係なく、全従業員の「働く」モチベートすることも期待できます。
第3回はさらに一歩進めた多様性について考えていきたいと思います。
正規・非正規を問わず、従業員のモチベーションアップや定着率向上についてお悩みがありましたら、ぜひご相談ください!
