テレワークに馴染めない困ったシニアに関する相談 by 東 公成

政府の緊急事態宣言を受けて、多くの企業がテレワークを始めています。 7都府県に緊急事態宣言が出された直後の4月1~2日、「パーソル総合研究所」(東京)が全国約2万5800人にアンケート調査をしたところ、テレワークを勤務先から指示された人は全体の41%、さらに「今の職場で初めて経験した」と回答した人は68%に上ったそうです。
この「緊急事態」の中、テレワークに馴染めないシニア社員についての対応というケースの紹介です。

自力でテレワークできないシニア社員 有沢さんのケース

横浜にある中堅機械加工メーカー。4月からの緊急事態宣言を受けてテレワーク可能な職場の社員にはパソコンを持って帰ってもらって、とにかくテレワークをスタートすることにしました。

ところが、シニア社員の有沢さん(仮名)がなかなかテレワークに馴染めないようです。ご自宅から会社のネットワークに接続するところで大変苦労されたと聞き、同じ課の若手社員が見かねて電話でサポートしたら、それから毎日のように若手社員に電話して長い時間質問責めにしていました。

さすがに悲鳴をあげた若手社員からの苦情で、課長が有沢さんに電話をして、テレワーク用に情報システム部が作成したマニュアルをきちんと読んで自力で対応するように指示をしました。

有沢さんはかなり抵抗しましたが、最後は「業務命令」の一言で了承していただきました。その日以来、有沢さんは改善を見せたのですが、課のオンライン会議で有沢さんの作り出す重苦しい雰囲気が周りにも悪い影響を与え始めています。

シニア社員 有沢さんのプロフィール

有沢さんは、昨年11月に東京の大手鉄鋼メーカーを定年退職し、経験を買われて12月にこちらの企業様に顧問として入社しました。もともとIT関係はそれほど得意ではなかったようですが、顧問としてパソコンはメールを使う程度でなんとかお仕事ができていました。
テレワークで使う業務用アプリはメール、Word、 Excel、オンライン会議システム程度でそれほど難しいものは要求していないのですが、、、

相談のポイント

  • 有沢さんにどう対応したら良いか?
  • キャリアコンサルタントさんに有沢さんへの面談をお願いできるか?

キャリアコンサルタントの提案

二つの視点

今回は、有沢さんにフォーカスしたご相談でありましたが、テレワークという緊急事態の中で考えるにあたり、次の二つの視点を提案いたします。

  1. 全体最適:テレワークという環境で仕事をしている社員の働き方という視点
  2. 個別最適:適応できていない有沢さんにフォーカスした視点

全体最適:テレワークという環境で仕事をしている社員の働き方という視点

政府の緊急事態宣言を受けてのテレワークは、会社の就業規則や制度とのすり合わせは後回しで、とにかく開始したため、年齢に関係なく自宅で黙々と使って仕事することに、当初の予想以上のストレスがかかっているという報告が相次いでいます。

テレワークに馴染めない有沢さんはもちろん問題がありますが、ちょっと視野を広くして、テレワークをしている社員さんたちの状態を把握する意味で次の提案をいたします。

  • キャリアコンサルタントが、テレワーク社員の皆さんと一対一のオンラインで面談を実施する。
  • テレワークでうまく行っている点、困っている点あるいは不安を抱えている点についてお聞きします。
  • この面談は個人の人事評価につなげるものではないことを説明した上で今の状態について傾聴いたします。
  • その際、会社に伝えて欲しいことがあればお聞きします。

個別最適:適応できていない有沢さんにフォーカスした視点

この中で有沢さんの状態についてもしっかりとお聞きしますが、ご要望があればテレワーク社員に対する会社の期待を踏まえて、有沢さんに対しては次のことも行います。

有沢さんのご苦労をお聞きしながらも、次の点を明確にします。

  1. 有沢さんができていること。
  2. 有沢さんが社員としてやらなければならないのにやっていないこと。

とくに「有沢さんが社員としてやらなければならないのにやっていないこと。」に関しては、マニュアルを読めばできること、システム部門のサポートが必要なことについて有沢さんと一緒に考えます。


面談後の対応:有沢さんにとっても全体にとってもテレワークでのより良い働き方を目指して

全員との面談が終わったら、個人を特定しない形での全体の面談実施報告書をご相談者様に提出し、今後の方針を決めます。

一般的に、テレワーク下ではオフィス環境での仕事と比べてコミュニケーションがうまく行っていないという事例もあります。面談の中で見えてきた問題にもよりますが、例えば全体に対しては、テレワークという環境でも業務がうまく回ることを狙ったコミュニケーション研修(オンラインで実施)などの提案、また有沢さんやテレワークでのシステムの使い方について苦労されている社員さんに対する情報システム(オンラインで実施)という提案も考えられるでしょう。
見えてきた課題に対して最適な提案をいたします。

新型コロナウィルス感染症の終息が見えない中でのより良い働き方を目指して

今回の件は有沢さんというシニア社員さんのご苦労から出発した話ではありましたが、テレワークという緊急事態対応が与えているインパクトは確かに有沢さんに顕著に現れていましたが、他の社員さんたちはどうなんだろうか?という組織全体の観点での対応を提案いたしました。

今回のコロナウィルスによる新型肺炎がビジネスに及ぼす影響は長期化するという意見もあります。テレワークをいつまで続けるのがこの記事を書いている4月28日時点では明確な答えが出ていません。

テレワークという制限のある中で、シニア社員である有沢さんにも他の社員が持つスキルを1日も早く身につけてもらいこの環境で実力を発揮していただければと思います。

緊急事態の最中に初めての経験であるテレワークで苦労されているシニア社員、そして社員の皆さんのより良い働き方のために、ぜひともキャリアコンサルタントの活用をご検討ください。


※ 本記事は、実際の相談事例をもとに作成したケーススタディです。

この記事を書いたキャリアコンサルタント

東 公成
東 公成
外資系企業の情報システム部門勤務35年の経験を踏まえて、人と企業の共生の実現、中でもシニア人材の活用と活躍について支援をいたします。御社のビジョンや方針をしっかりとお聞きした上で、研修の提供、面談を通して、人材の活性化に貢献いたします。またアンガーマネジメント公認トレーナーの資格を生かし様々な場面での「怒りの問題」の解決も得意としております。

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