働きがいのある組織(職場)をつくる(5)    組織全体についての観点から by 井手幸史

 これまで3回にわたって、私がこれまで人の育成や組織の育成をとおして多くの人を見てきた経験から、生き生きと働ける活気のある職場で多く見られる一人ひとりの特徴、メンバー間の関係性の特徴、そしてそのような職場での上司のあり方の特徴について書いてきました。

今回は、組織全体の観点からまとめます。
・メンバー・職場・上司の間の好い循環を形成する
・職場を越えて独自の専門性を活かし合う
・想定外の状況にも自律的に対応する
・自律的取組の成果を組織の戦略に活かす

<メンバー・職場・上司の間の好い循環を形成する>

 活性化した組織では、複数の取組みの間で好い循環が形成されています。これらの好い循環が一度形成されると、スパイラル的に活力が向上して行くという特徴があります。
 例えば、
・一人ひとりの内発的な意思による取り組みで、職場メンバーから感謝され、ますます意思が成長する
・職場メンバー同士の強みを相互に活かし合う形で連携し、職場の成果が現れることで、それぞれの強みがさらに強化される
・職場メンバーの自律的取組みの成果が想定を超えることで、上司にとっても学びとなり、さらに自律性を促進する
というように、一つひとつだけでなく、この三つの間でも良い循環が形成されます。

<職場を越えて独自の専門性を活かし合う>

 専門性と言うと、定型的な熟練をまず思い浮かべますが、このような「どうすればどうなるか分かっている」分野での人並みはずれた知識や質や効率という形での専門性の他に、「どうすればどうなるか分かっていない」ところを自ら探究し試行錯誤して切り開とくことによるその人独自の専門性も重要です。これは技術の分野に限らず、至るところにあるものです。
 活気のある組織では、メンバー同士の異なった「独自の専門性」を、職場を越えて連携させ合い自律的に取り組むことで、組織全体としての強みとなって行きます。

<想定外の状況にも自律的に対応する>

 よく言われるように、昨今はどんな想定外が起きるか読めない時代です。今回のいきなりのリモートワークへのシフトは多くのところでは想定にはなかったことと思います。このような状況下で活きるのは、前項の後者の「独自の専門性」です。定常時には一見役立ちそうにないことであっても、様々な独自の専門性が蓄積されていると、想定外が現実になったときに活かせる材料となります。さらには、他社からみた想定外を自ら産み出すこともできるようになります。

<自律的取組の成果を組織の戦略に活かす>

 前項のような自律的取組の結果を組織の戦略に活かして取り入れていくことで、組織レベルでの大きな好い循環を形成することができます。実際、神戸大学を今春退官された金井壽宏先生のグループの調査研究によると、日本で戦略が成功している企業の多くでは、その戦略は職場で自律的に始めた取組みを起源としているとのことで、上記のことと符合しています。

以上、活性化した組織はどういう特徴があるかについて書いてきました。
好い循環ができることで、メンバーの働きがいが増し、離職が減り、職場が活性化し、組織全体として生産性が向上するなど、一人ひとりにとっても組織全体にとっても好い結果が産まれます。
では、どのようにすれば活性化に向かっていけるのでしょうか。それはまず、小さなスパイラルを形作って、それを次第に大きく育てていくことです。
次回は、最初に取り組む小さなスパイラルをどのようにして形作るかについて考えます。

この記事を書いたキャリアコンサルタント

井手 幸史
井手 幸史
一人ひとりの中の意欲を引き出し、職場メンバー間の連携で組織を活性化し、そこからさらに一人ひとりの成長に繋ぐ、一人ひとりと組織との間の好循環を産み出す仕組み作りのお手伝いをいたします。

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