新米教育担当アツコ、がんばる! 第4回 アツコ、インタビューアデビュー計画!?by 平井厚子
にこにこしながら「育成目標検討シート」を書き始めたアツコさんですが、度々手がとまります。その都度事業計画書を開いて確認するようになりました。アサクラさんが声をかけます。
「どうですか? どんな感じ?」
「ところどころどうしても埋まらないというか、事業計画書だけでは情報がなくて。」
「そうですよね、例えばどんなところが書けないですか?」
「例えば、現状どうなっているのかとか、どんな人たちを対象にするのかとか。」
「では、「育成目標検討シート」をうめるために、あとどんな情報が必要かを考えてみましょう。それが関係者へのインタビューの材料になるんですよ。」
今回のポイント 「ステークホルダーへのインタビュー計画をたてる」
教育企画では関係者にインタビューをして情報を集めることが、よくあります。その際、どんな情報を集めるかは事前に計画しておかないと、インタビューに行っても必要な情報があつまらないということになりかねません。
インタビュー計画で決めておくのは次の3点です。
1.何を聞くか
①事前の資料分析(アツコさんの例では事業計画)でわかったこと/わからなかったことについて。
②検討しているテーマについて、うまくいっていること/うまくいっていないことはなにか。
③うまくいっていないことを解決するのに必要なことはなにか。
④インタビューの相手は検討しているテーマについてどの程度の関心があるか。その理由は何か。
⑤何でもできる魔法の杖があったとして、テーマを解決するためになにをするか。 など
2.誰に聞くか
できるだけいろいろな属性をもつ人に聞くのが好ましいですが、どこまで範囲をひろげるか、あるカテゴリーに所属する社員に聞くとして全員なのかサンプリングするのか、などを決めます。
3.どのように聞くか
1対1でのインタビューは率直な意見が聞けるメリットがありますが、時間がかかることがデメリットになります。逆にグループインタビューは効率的ですが、他のメンバーを気にして発言に影響が出るに場合も懸念されます。
以上3点について、スケジュールやコストなどの制約条件も考えてインタビューの実施計画を立てます。
インタビューに代わってアンケートを使うこともできますが、アンケート結果は書き手からの一方的なコミュニケーションですので、できればインタビューの事前情報としてアンケートを使う方が効果的でしょう。
「うーん、何を聞くかはもう少し時間をいただければできると思います。むしろ、誰に聞くかとどのように聞くかの方が難しいですねえ。考えるなあ。。。」
「そうね、そのあたりは一度ダイモン社長に相談してみてはどうかな。今回のテーマについて誰の意見を聞きたいと思ってらっしゃるか、お考えがあるかもしれないし。」
「そうですね。私も少しは進め方がイメージできてきましたし、もう少し詳しく社長の意図とかお考えとかを聞いてみます。」
そう言ってアツコさんはダイモン社長にアポをとりに行きました。
第5回へ続く
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この記事を書いたキャリアコンサルタント

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IT企業で25年人材育成に取り組んできました。その後就職支援で現実の労働市場に直面して視野を広げ、会社側の視点と労働者側の視点とニーズの両方を肌で感じて自分の中に取り込めたと思います。
働き方改革は従業員の能力開発、仕事の仕組みの見直しを伴ってこそ、実のあるものになります。ぜひ人材育成の視点からお手伝いさせてください。